「初物」は縁起物?
知っているようで知らない日本の文化!
初物についてを紹介
日本で暮らしているとよく耳にする「初物」という言葉。
なんとなく食べるものかつ季節のものを指している言葉だというイメージはあるんじゃないでしょうか。
そんな「初物」ですが、正しく説明してと言われて答えられる人は実際少ないはず…!
2023年のNERUのテーマは初。
せっかくなのでこれを機に「初物」について調べてみました!
初物とは
初物について辞書を引いてみました。
①その季節に初めて収穫した野菜・果実・穀物など。魚介などにもいう。はしり。
②まだだれも手をつけていないもの。処女や童貞などにもいう。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
今回説明する初物の意味は①についてになります。
上記のように、初物はその季節やその年に初めて収穫される食材や物事を指します。
初物は、日本の文化において昔から好まれており、お祝いの場や贈り物にも適しているとされています。
旬との違いはある?
初物と同じ意味と認識されがちなのが「旬」のもの。
旬とは、食材がより美味しく食べれる期間や、新鮮なものが手に入る時期を指します。
旬の食材は、その時期になると多く市場に豊富に供給されるため、新鮮で味わい深い食べごろの美味しさを手頃な価格で楽しむことができます。
初物は旬の中でもその始まりに出回る「はしりもの」とも呼ばれており、旬のものは食べごろであったり収穫が最盛期であることから「さかりもの」としても親しまれています。
どちらも季節感を楽しむために活用されている言葉です。
なぜ初物が縁起がいいとされているのか
ではなぜ初物を食べるのは縁起の良いことだとされているのでしょうか。
理由に「初物を食べると寿命が七十五日延びる」という意味が込められた、ことわざ「初物七十五日」が挙げられます。
「初物七十五日」の言葉の由来には諸説あります。
- 江戸時代、死刑囚が最期に食べたいものを求めた際、少しでも処刑日を延ばすために少し先の初物を所望し、結果的に延命できたという逸話から。
- 中国の五行思想・五行説の影響から。
五行思想では様々なものが「木・火・土・金・水」の五つの要素から成り立っていると考えられています。1年もこの5つでできていると考えた時に季節の区切りが75日となるため。 - 種をまき発芽してから収穫までの日数が約75日であることから。
「人のうわさも七十五日」という言葉があるように、日本の文化の中で【75日】という数字は何かの区切りとしてよく使われていたのかもしれませんね。
初物を食べるときにすることは?
初物を食べると寿命が延びると考えられてきたというのはわかったのですが、食べる時にする行為などはあるのでしょうか。
- 初物を食べる前に仏壇や神棚にお供えし、感謝の意を示す。
日本には、初物をいただくときはまず神様やご先祖様にお供えしてからいただくという風習があります。
これは恵に関する感謝を表しているとされています。 - 初物を食べる際には東(または西)を向いて笑って食べる。
関西地方では「東」、関東地方では「西」を向きながら笑って食べると縁起がいいとされているそうです。
方角の違いの理由は、初物を手に入れたことを別の地域に自慢する意味や、日の出や神様の方角など諸説あるそうです。
これらは、日本の歴史や地域差、宗教的な要素などが複雑に結びついているものであり、初物を通じて感謝の気持ちや競争心、季節の訪れを祝う文化が表れています。
どちらの風習にしても、初物を食べることを特別な瞬間と捉え、その食材の恵みを大切にする日本の食文化の一部であることがわかりますね。
初物の代表?「初物四天王」を紹介
初物をより楽しむために、「初物四天王」と呼ばれている食材を紹介いたします。
⚫︎ 初鰹(はつがつお)
初鰹は、初春に収穫されるカツオ(鰹)の初物を指します。
また「カツオ」は「勝つ男」という当て字にもなることから、縁起の良いものとしても人気だったようです。
初鰹は、非常に希少価値が高く、江戸時代には非常に高級な食材ともされていました。
⚫︎ 初鮭(はつざけ)
初鮭は、晩夏から初秋にかけて収穫されるサケ(鮭)の初物を指します。
鮭は海から川を遡上し、生まれた川で産卵します。
成長して戻ってくる様子から出世魚として知られ、また産卵をするために戻ってくることから子孫繁栄を象徴する存在とされています。
⚫︎ 初茸(はつたけ)
初茸は、晩夏から初秋にかけて収穫されるキノコ、特に松茸(まつたけ)の初物を指します。
松茸は高級な食材であるため、初茸の価値は非常に高値をつけられる時もあるほど。
⚫︎ 初茄子(はつなす)
初茄子は、晩夏から初秋にかけて収穫されるナス(茄子)の初物を指します。
ナスは駿河のことわざで「1富士2鷹3茄子」という言葉があるほど縁起物として親しまれていますよね。初茄子はその中でも特に幸運を招くと信じられていました。
これらの初物四天王は、その季節になると高値がつけられ、特別な贈り物やお祝いの席で重宝されました。
現代でも、これらの初物は日本の伝統的な食材として価値が高く、季節ごとに楽しまれています。
おわりに
現代では、1年を通して美味しいものをいただける環境になっているため、昔の日本人と比べると、初物・旬のものに対する価値観は変わってきているかもしれません。
ですが、初物の文化は形を変えながらも続いており、新たな初物や初物風の食材が注目されています。
例えば、ワインでいうと「ボジョレーヌーボー」であったり、「初マグロの競り」も新年の始まりを象徴するイベントとして親しまれています。
このように、初物は現代でも日本の季節感覚や縁起を表す重要な要素であり、新しい食材や文化も加わっていくことで、その価値と意味がさらに広がっています。
皆さんもぜひ初物を楽しんでみるのはいかがでしょうか。
Writer:晴れ女
2023/09/24



